こんにちは、ツシマユウキです!
この記事では、コーチ・カウンセラー・コンサルタントといった対人支援を行うプロフェッショナルや、組織の中で部下の成長を支援する管理職の方にとって、非常に重要な「質問の技術」について解説していきます。
書店には「質問力」「聞く力」に関する書籍がずらりと並び、今やビジネススキルの基本ともいえる人気ジャンルになっています。多くのビジネスパーソンが、「質問」という日常的な行為に関心を持っている証拠ですね。
しかし、一度立ち止まって考えてみてください。私たちは2歳の頃から「どうして?」「これなあに?」と、日常的に質問を繰り返してきました。親に、先生に、友人に、上司に、数えきれないほど質問してきたのです。
それなのに、なぜ今さら「質問の仕方」を学ぶ必要があるのでしょうか?
質問には2つのタイプがある
質問には、大きく分けて2つの目的があります。
1. 情報を引き出す質問
こちらは、世の中の質問のほとんどを占めるものです。
「相手が知っていて、自分は知らない」情報を得るために行われます。
たとえば「今何時ですか?」「この資料の提出先はどこですか?」といった質問です。
これは「わからないことを知るための質問」であり、主に自分のために行う質問です。
2. 思考を引き出す質問
一方、今回の記事で解説するのはこのタイプです。
相手がまだ「答えを持っていない」状態に対して、「思考を促すため」に行う質問です。
コーチングやカウンセリング、マネジメントなどの対人支援では、こちらの質問が中核となります。
なぜなら、支援者が答えを与えてしまうと、相手は依存的になり、自ら考えて課題を乗り越える力を育てることができなくなってしまうからです。
本当に相手の成長を支援したいのであれば、相手が自ら考え、気づきを得て、自立していくプロセスをサポートすることが大切なのです。
思考を引き出す質問の3つのタイプ
「思考を引き出す質問」と一口にいっても、その中にはいくつかのタイプがあります。ここでは代表的な3つをご紹介します。
1. 論理的思考を促す質問
因果関係や根拠を整理するための質問です。
例:「なぜそう考えたのですか?」「その結果、何が起こりましたか?」
2. 創造的思考を促す質問
新しいアイデアや視点を生み出すための質問です。
例:「もし制限がなかったらどうしますか?」「別の方法があるとしたら?」
3. 探求的思考を促す質問
前提や思い込みを揺さぶり、深い内省を促す質問です。
例:「なぜそれが正しいと感じたのですか?」「それを信じるようになった経験は?」
コーチングやカウンセリングでは、これらを「探求 → 創造 → 論理」という順序で活用することが有効です。思考を深め、広げ、最後に整理する流れですね。
なぜ質問で「考える力」が引き出されるのか?
ここで、少し脳の働きについて考えてみましょう。
人間の脳は、以下の3つの機能を持っていると考えられます。
- 覚える(情報を入れる)
- 思い出す(情報を見つける)
- 考える(情報をつくる)
私たちは、質問をされたときにこのいずれかの機能を使います。
- すでに答えを知っている質問 → 思い出す
- まだ答えを持っていない質問 → 考える
ここが大きな違いです。
脳は、空白を認識するとそれを埋めようとする性質があります。
質問によって「わからない」「未解決」という“空白”を作ることで、脳はその空白を埋めようと考え始めるのです。
つまり、「思考を引き出す質問」とは、相手の脳に「空白」をつくる質問です。
この空白が、思考・気づき・成長を促すトリガーになるのです。
まとめ|対人支援に本当に必要な質問力とは?
- 情報を引き出す質問:自分のために、既にある情報を引き出す
- 思考を引き出す質問:相手のために、まだない答えを生み出す
対人支援において求められるのは、後者です。
相手に空白をつくり、考えさせ、自ら気づきを得るプロセスを支援する。
それが、コーチ・カウンセラー・マネジャーなど人を導く立場にある人が身につけるべき「質問の技術」なのです。
今後もこのブログでは、対人支援に役立つコミュニケーションスキルや思考法をお届けしていきます。
成長し続けるビジネスパーソンを目指すあなたに、ぜひ役立てていただければ嬉しいです。