こんにちは。
今回は、誰もが一度は聞いたことがあるけれど、実はしっくりきていない「傾聴」についてお話しします。
- 学生時代に「アクティブリスニング」という言葉で学んだ人
- 社会人になって研修で習った人
- 管理職になって改めて傾聴スキルを磨こうとした人
どんな立場でも、多くの人が“誤った傾聴”を身につけてしまっているかもしれません。
実際、心理学の専門家でなければ、傾聴を教えている研修講師でさえも誤解していることは珍しくありません。その結果、誤った理解が広まり、それが「正しい」と思い込まれてしまっているのが現状です。
このままでは、多くの人が本質的な傾聴を身につけられず、信頼関係の構築に失敗し続けてしまうかもしれません。
今回はそんな「傾聴」の誤解と、本当に相手の心に寄り添える“正しい傾聴”について解説していきます。
よくある研修の「傾聴スキル」には要注意
ある研修会社の管理職向けの資料を見たとき、次のようなことが書かれていました。
- 相手の話を関心を持ってしっかり聞く
- 相手が話しやすい環境を保つ
- うなずき、相づち、オウム返し
- 表情や視線、姿勢に気をつける
確かに、これらは一見「いいこと」のように思えます。
しかし、これはあくまで表面的な**“聞き方のテクニック”**に過ぎません。
研修の中では、3人1組で聴き手・話し手・オブザーバーに分かれて、テクニックを試す演習が行われます。
それによって「傾聴を学んだ気」にはなるかもしれません。
しかし実際に1on1で部下と向き合ったとき、「あれ?なんかうまくいかない…」「オウム返ししても不自然」と感じてしまうのです。
傾聴は「スキル」ではなく「態度」である
結論から言います。
傾聴はスキルでもテクニックでも能力でもありません。
傾聴とは、「態度」なのです。
正確には、
相手が見ている世界を、同じように追体験しようとする心のあり方。
それこそが傾聴です。
つまり、傾聴とは相手の「言葉」を聞くのではなく、「体験」を聴く行為なんです。
Doingではなく、Beingを意識する
表面的なテクニックは「Doing(すること)」に過ぎません。
しかし、真の傾聴に必要なのは「Being(どうあるか)」です。
- 頷きやオウム返しは、テクニック(Doing)
- 相手の世界を一緒に感じようとする姿勢(Being)
この「Being」が備わっていない状態でどれだけテクニックを使っても、相手には伝わらないどころか、逆効果になってしまうことすらあります。
本当の傾聴に必要な心のあり方
目の前に悩みを抱えた人がいるとき、あなたがすべきことは「解決策を提示すること」ではありません。
まず必要なのは、相手の世界を理解しようとすることです。
人はそれぞれの人生経験や価値観をもとに、出来事を捉えています。
同じ出来事でも、感じ方・受け止め方は人によってまったく異なります。
だからこそ、傾聴する際は自分の常識や価値観を一度脇に置いて、相手の“体験”を一緒に旅するような意識が必要なのです。
鎧を脱ぎ捨て、自然体で向き合う
傾聴に必要なのは、あなたの専門性や知識、経験ではありません。
それらを一度脱ぎ捨てて、ただの一人の人間として自然体で向き合うことが大切です。
上から目線で問題を解決しようとするほど、相手は受け身になり、自分のことを話せなくなります。
だからこそ、まずは寄り添い、一緒にその世界を歩むことで、相手の心の鎧も自然と外れていくのです。
テクニックは「相手が心を開いたあと」に使うもの
ここでようやく、頷きや相づち、反復(オウム返し)といったテクニックの出番です。
それらは、相手が自らの感情や価値観を開き始めたときに、そっと後押しするための補助輪のような存在でしかありません。
だから、最初からテクニックに頼っていては、傾聴にならないのです。
傾聴は「相手が自ら答えを見つける旅」の伴走
傾聴のゴールは「アドバイス」ではなく、「相手が自ら気づくこと」。
あなたはその“旅”の同行者であり、決して道案内人ではありません。
深く話すことで、相手は自分の気持ちを整理し、自ら答えを見つけていきます。
それを信じて、相手の内面を一緒に旅してあげてください。
補足:質問やフィードバックが必要になる場面もある
もちろん、すべての人が自分の内面を一人で旅できるわけではありません。
そういうときは、「質問スキル」や「フィードバックスキル」が必要になります。
ただし、ここでも注意点があります。
相手の主体性を奪わないように、あくまで“促す”ような形で関わる必要があるのです。
この辺りの詳細は、今後のブログや動画で解説していきますね。
まとめ:傾聴の本質は、心を通わせる「あり方」
「傾聴スキル」と聞くと、すぐにやり方を学びたくなってしまいますが、
本当に大切なのは、その“前提となる態度”です。
- 相手の世界を追体験する
- 自分の価値観を押し付けない
- 解決ではなく、共感
- テクニックは補助輪
これらを大切にしていくことで、あなたの傾聴力は確実に変わっていきます。
次回予告とお知らせ
今後の動画やブログでは、今回触れた「質問スキル」「フィードバックスキル」についても掘り下げていく予定です。
「ただ聞く」から「本当に支える」対話を一緒に学んでいきましょう!
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また、質問や感想などもコメントいただけたら嬉しいです。
それでは、また次回の記事でお会いしましょう!