わかりにくい文書に振り回されない
脳をムダに疲れさせない「省エネ読解スキル」
こんにちは、ツシマユウキです。
「……そのメール、結局何が言いたかったんだ?」
「最後まで読んだけど、正直よく分からない」
そんな社内文書に、心当たりはありませんか?
文字数は多く、丁寧そうに書かれている。
でも読んでみると要点がつかめず、頭に入ってこない。
結果、理解できていないのに、なぜかものすごく疲れる。
これは、あなたの読解力や集中力の問題ではありません。
原因はもっと別のところにあります。
この記事では、
**脳科学に基づいて「わかりにくい文書を省エネで読む方法」**を解説します。
最後まで読むことで、
- なぜわかりにくい文書は異常に疲れるのか
- 読まなくていい部分と、拾うべき部分の見極め方
- 曖昧な社内文書に感情を乱されないマインドセット
が明確になります。
「何となく読めたけど、何も分からなかった」経験ありませんか?
ある朝、パソコンを開くと一通のメール。
件名は
「今後の対応について」
添付された資料を読んでみると……
- 誰が何をするのか分からない
- 一文が長く、途中で意味がぼやける
- 責任の所在が不明確
- 抽象語が多く、判断材料がない
最後まで読んだ結果、
「何となく読んだ気はする。でも、結局何も分かっていない」。
こうした文章を読み続けると、
脳には情報が残らないのに、疲労感だけが蓄積していきます。
なぜ「わかりにくい文書」はこんなにも疲れるのか
― 認知負荷理論の視点 ―
この問題を理解する鍵が、認知負荷理論です。
人間の脳は、情報を処理する際に主に次の3つの領域を使っています。
- 感覚記憶:五感から入る情報を一瞬だけ保持
- ワーキングメモリ(作業記憶):理解・判断・統合を行う
- 長期記憶:知識として蓄積される領域
この中で、
「読みながら理解する」作業を担っているのがワーキングメモリです。
問題は、このワーキングメモリが
一度に4〜7チャンク程度の情報しか扱えないという点。
チャンクとは「意味のある情報の塊」のこと。
電話番号を「090-1357-2468」のように区切ると覚えやすいのは、この仕組みのおかげです。
認知負荷には「3種類」ある
ワーキングメモリにかかる負荷には、次の3つがあります。
① 内在的負荷
情報そのものが難しいことによる負荷。
専門用語、複雑な因果関係など。
② 外在的負荷
伝え方が悪いせいで生じるムダな負荷。
論理構造がない、主語がない、曖昧表現が多い、など。
③ 発展的負荷
理解を深め、知識を構造化するために意図的にかかる負荷。
これはポジティブな負荷です。
わかりにくい社内文書の正体
多くの社内文書は、
内在的負荷は低いのに、外在的負荷だけが異常に高い
という状態にあります。
つまり、
中身は難しくないのに、難しそうに書かれている。
その結果、
- 本題にたどり着く前に疲れる
- 曖昧な表現を補完しようとして脳がオーバーヒート
- 読んだのに、何も残らない
という現象が起こります。
これは集中力不足ではありません。
脳の設計上、ムダに耐えられないだけです。
社内文書に本来含まれるべき情報
社内文書には、最低限次の要素が含まれているはずです。
- 目的
- 主張(何を言いたいのか)
- 構造(根拠・背景)
- 書かれていない裏の意図
さらに、
- 抽象と具体のバランス
- 専門用語・ローカル用語
- 読み手の前提知識
これらが整理されていないと、外在的負荷が一気に跳ね上がります。
「目的」と「構造」を先に押さえる
― 読解の起点をつくる ―
わかりにくい文書に対抗する最大のポイントは、
最初に「何を探しにいくか」を決めることです。
つまり、
- この文書の目的は何か
- どんな構造で書かれていそうか
を仮定してから読む。
目的が分かると、
脳は情報を分類しやすくなり、ノイズを無視できるようになります。
省エネ読解・最初の3ステップ
文書を開いたら、まず次の3つを行ってください。
- 目的を仮定する
これは依頼か?報告か?根回しか? - 構造を探る
主張はどこか?結論と根拠の関係は? - 足りない情報を補う
主語、背景、前提を想像で補完する
この「読み解きの起点」があるだけで、
文章に振り回されなくなります。
4タイプの「わかりにくい文書」と読み解き方
タイプ① 分散・過剰情報型
情報は多いが、主張が埋もれている文章。
→ 「何を最優先すべきか」を抽出する。
タイプ② 責任回避型
判断を現場に丸投げする文章。
→ 「誰が・何を・どこまで判断するのか」を補完する。
タイプ③ ポジティブで中身ゼロ型
雰囲気だけで事実がない文章。
→ 「具体的成果は何か?」を仮定する。
タイプ④ 惰性型(主体性不在)
形式的な報告だけの文章。
→ 「異常なし報告」だと割り切る。
重要なのは、
何が書かれていて、何が書かれていないかに気づくことです。
わかりにくい文書に疲れないためのマインドセット
① 完璧に読まなくていい
目的に関係ない部分は、読まなくていい。
② サルベージ型で読む
「目的・主張・必要な事実」だけを引き上げる。
③ 分からないものは仮定する
ローカル用語や背景は、今すぐ理解しなくていい。
④ 感情を切り離す
「これは資料ではなく素材」と捉える。
感情が動くと、
それだけでワーキングメモリは消耗します。
サルベージ読解がもたらすもの
この読み方が身につくと、
- 読解に奪われる時間が減る
- 自分のタスクに集中できる
- 「わからない文書」にイライラしなくなる
つまり、
脳のパフォーマンスを守るスキルになります。
まとめ
わかりにくい文書に振り回されないために必要なのは、
- すべてを理解しようとしない勇気
- 情報のサルベージ力
- 感情と距離を取るメタ認知
この3つだけです。
もしあなたが、
「意味のない文書に時間を奪われている」と感じているなら、
ぜひ明日からこの省エネ読解を試してみてください。
あなたの仕事は、きっとラクになります。
